円ステーブルコイン元年の幕開け
2026年7月14日、東京で開催された「WebX2026」にて、注目のセッション
「円ステーブルコイン元年をどう見る—JPYC×JPYSC、それぞれの答え」が行われました。
昨年のWebX時点では日本で正式に認可されたステーブルコインは発行されていませんでしたが、そこから約1年で「JPYC」と「JPYSC」という2つの大きなプレイヤーが登場し、市場を牽引しています。
本記事では、渡辺創太氏、岡部典孝氏、近藤智彦氏の議論をもとに、両者の違いやユースケース、今後の展望をまとめました。
JPYCとJPYSCの違いとは?
日本国内で正式に発行されるステーブルコインですが、この2つは「発行の型」や「法的な立て付け」に明確な違いがあります。
JPYC(資金移動業型)
- 法的根拠:第2種資金移動業のライセンスを用いた「第1号電子決済手段」に該当します。
- 裏付け資産:資金移動業のルールにより、発行額に対して101%(多めの義務)の裏付け資産(国債や信託銀行経由の預金など)が求められます。
- 特徴:加盟店契約がなくても、不特定多数の店舗で決済に利用できる点が強みです。外国人旅行者などが許可なく日本の店舗でデジタル現金のように使うことも可能です。
JPYSC(信託型)
- 法的根拠:「第3号電子決済手段」に該当する信託型ステーブルコインです。
- 発行主体:SBI VCトレードではなく、SBI新生信託銀行が発行者となります。
- 特徴:資金移動業型(第1号)や海外発行型のような「1回あたり100万円の送金上限」がないため、大口の取引に適しています。
それぞれのユースケースと今後の展開
JPYCが狙う領域
現在の利用用途として圧倒的に多いのは、DeFi(分散型金融)における流動性提供やスワップ、レンディングなどのオンチェーントリヒキです。最近ではLINE(Astarチェーン)との協業によるポイント還元キャンペーン等で、2週間で発行量が約2倍になるなど急激に流通を伸ばしました。今後は、未上場企業等の配当金支払いや組織の払い込みなど、証券分野での実用化も視野に入れています。
JPYSCが狙う領域
現在はSBI VCトレード口座内でのクローズドなローンチに留まっており、JPYとJPYSCの取引や、年利3%のレンディングサービスが提供されています。
上限金額がないという特性を活かし、今後はアセットマネジメントや、日米間の企業内資金管理(イントラデイ・スワップ)の即時着金化などを目指しています。
さらに、株式や不動産などの資産がトークン化(RWA)された際、JPYSCを用いることで「買った瞬間に決済と証券の受け渡しが完了する(DvP決済)」世界の実現を構想しています。
グローバル市場における日本の勝機と今後の課題
世界のステーブルコイン市場を見ると、アメリカ(米ドル)が約50兆円規模で圧倒的な1位となっており、ユーロ圏が約1000億円で続きます。
日本の発行量は現状約130億円規模に留まっていますが、金利の安さを背景に「機関投資家の資金調達通貨(ファンディング・カレンシー)」としての日本円の需要はグローバルで非常に高く、世界2位を狙える絶好のポジションにあります。
米国SECなどが金融市場のオンチェーン化を国策として進める中、日本もこの波に乗り遅れないことが重要です。
今後の課題としては、法規制のさらなる緩和が挙げられます。現在クローズドなJPYSCをパブリックに開放していくことや、現行制度における制約(送金上限額の撤廃や、金銭と同等の扱いにする明確化など)を当局と対話しながら解決していくフェーズにあります。
登壇者からは、1年後に「1兆円規模」を目指し、2035年までに予想される世界のオンチェーン取引市場の10〜20%を日本で獲得したいという力強い目標が語られました。


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